そんなに暇なら本でも読みませんか?

書評、感想、おすすめ。少々偏りがありますが、わりと何でも読みます。

2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

クビキリサイクル 西尾維新

「京都の二十歳」西尾維新。二十歳にして、その実力を遺憾なく発揮し、衝撃のデビューを果たした作家さんである。代表作としてはたぶん、クビキリサイクルよりも「化物語」とかの方が、今ではメジャーなんじゃないかなぁ。 私も、化物語の方を先に知っていた…

すべてがFになる 森博嗣

理系ってかっこいい。文系とは全く異なる分野にも関わらず、彼らは相応にして文学にも長けている。いや、むしろ文系の人間よりも言葉を巧みに扱う人が多い。 そもそも理系が文系と「異なる分野」だと考える方がおかしいかもしれない。実は色々と似通っていた…

眼球綺譚 綾辻行人

こういうジャンルを面白いと思うかどうかは、真にその人次第である。 気味の悪い話を盛り込んだ短編集なのだけど、そこはかとない面白さがある。きっと誰もが持っている好奇心、怖いもの見たさで、ついつい読んでしまうような。そんな作品。 何がどうという…

海を見る人 小林泰三

救いようがない。ツッコミどころが多すぎてどうしようもない。 小林泰三の小説はこれが初めてだったのに、正直がっかりした。 物語のつまらなさも然ることながら、登場人物の台詞も会話もセンスがない。 しかも「天獄と地国」の中で、宇宙空間に人間が晒され…

冷たい校舎の時は止まる(上・下) 辻村深月

何これ、ホラー小説かよ。 と思ったけど読んでいるうちに持ち直しました。 デビュー作とは思えない文量。大半が、主人公達それぞれの回想なんだけど、だとしてもすごい肉厚。それに、この回想が良かった。そうだ、これで持ち直したんだ。 高校生は「大人」で…

Another(上・下) 綾辻行人

何年か前に書店に並んでいた作品。 綾辻行人は十角館の殺人とかで有名なミステリ作家だし、ちょっと読んでみようと思って購入した。 結果とても面白かった記憶がある。 伏線を二重にも三重にも張り巡らしている。小説というジャンルだからこそ、文章のみだか…

ねじまき少女(上・下) パオロ・バチガルピ

アメリカ人が感じる、石油の重要性と、他の国の人達が感じる石油の重要性とでは天秤が釣り合わない。なんてったって、アメリカは石油の大量消費国だからだ。 石油は国の貴重なエネルギーである。ちなみに作者はアメリカ人。 物語は石油が枯渇し、エネルギー…

好き好き大好き超愛してる。 舞城王太郎

舞城王太郎は独特だ。毀誉褒貶、相半ばする人物とはまさにこの人のこと。ちなみに私は嫌いではないです。特に、初めて読んだ「九十九十九」では冒頭だけでかなり笑わせてもらった。 今回の作品。 冒頭の文章はとても心惹かれるものがあった。きっと、大事な…

アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス

32歳になっても幼児レベルの知能しか持ち合わせていない主人公、チャーリィ。そんな彼に夢のような話が舞い込んだ。大学の博士が頭をよくしてくれるというのだ。 白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、様々な検査とテストを繰り返すチャーリィ。やがて、…

九月が永遠に続けば 沼田まほかる

少し前、いや、去年か一昨年ぐらいだったろうか。 「アミダサマ」という本が書店で大きく売り出されていた。 沼田まほかるかー・・・知らないなー・・・ということで、アミダサマではなくデビュー作を購入した。 一人息子の失踪に始まり、主人公、佐知子の周…

エムブリヲ奇譚 山白朝子

旅本を作るために、秘湯や古刹を求めて諸国を訪ね歩く「道中旅鏡」の作者、和泉蠟庵。 しかし、彼の迷い癖は人の域を超えている。何のハプニングもなく目的地へ辿り着くことは絶対に不可能なのだ。 そんな彼と、旅の同伴者達が旅先で遭遇した、奇妙奇天烈で…

カラフル 森絵都

人間は生まれてから死ぬまで、自分の主観しか経験しないわけだ。 それは、目に映る景色だったり、鼻で嗅ぐ匂いだったり、耳に流れ込んでくる音だったり。 主人公は生前の罪により、輪廻転生されることなく消えてしまうはずだった魂。しかし、たまたまあの世…

ハサミ男 殊能将之

純粋にミステリを楽しみたい人には是非おすすめしたい。傑作。 伏線の回収って本当に気持ちがいい! 人間は思い込みの動物だといわれている。先入観や固定観念にとらわれて、物事を決めつけてしまうことが多い。特に、一度信じてしまったものや、自分の五感…

フリッカー式~鏡公彦にうってつけの殺人~ 佐藤友哉

シスコンの彼。鏡公彦がこの物語の主人公。しかし、そんな彼の愛する妹が、ある日突然自殺してしまう。 信じられないような現実を、受け止められずにいた最中、彼の元に謎の訪問者が訪れる。わけも分からないまま見せられたビデオデープの内容は、謎の男達に…

サラの柔らかな香車 橋本長道

いつだったろう、この本を手にしたのは。 何気なく、いや本当に何の気もなしに購入していたのだけれど。 なかなかにして新鮮で、軽やかに描かれていく物語に、気づけば引き込まれるようにして読み耽っていた。確か、夏だった。扇風機の前に張り付きながら読…

死ねばいいのに 京極夏彦

京極先生こんにちは。 京極夏彦といえば、姑獲鳥の夏だとか魍魎の匣だとかっていう、時代小説ものとかミステリ作品を連想する人が多いと思うけれど、この作品もなかなかいいです。いや、もちろん京極堂シリーズは傑作なのだけど。 暗黙の了解だったり、看過…

 「少女地獄」 夢野久作

地獄少女と間違われそうだが、それとは違う。少女地獄。 短編集でもありますが、少女地獄が至高です。 没頭して読み耽っていると、思わずニヤけてしまうような、そんなコメディ要素たっぷりの小説だということは間違いない。完全にブラックバラエティだが。…