カラフル 森絵都
人間は生まれてから死ぬまで、自分の主観しか経験しないわけだ。
それは、目に映る景色だったり、鼻で嗅ぐ匂いだったり、耳に流れ込んでくる音だったり。
主人公は生前の罪により、輪廻転生されることなく消えてしまうはずだった魂。しかし、たまたまあの世で当たった抽選によって、もう一度人間としてやり直すことになる。
それも、自殺して死ぬはずだった少年の身体を、人生を、そのまま引き継ぐ形になって。
魂の在り処だとか、心の居場所だとかって一体どこにあるんだろう。
身体は魂をいれる器にしか過ぎなくて、魂というもの自体が心を持ち感情を持ち、自分が自分であるというアイデンティティを確立して存在しているのだろうか?
ん~、こういう話は煎じ詰めればきりがない。
何はともあれ、カラフルは素晴らしかった。
読み終わったあとに訪れる、少しの空白と。感慨無量。
人を温かい気持ちにしてくれる作品。