そんなに暇なら本でも読みませんか?

書評、感想、おすすめ。少々偏りがありますが、わりと何でも読みます。

流星ワゴン 重松清

 大人向け。厚みある小説。

~あらすじ~

 「ただいま」を言うときには、いつも抜け殻のようになっていた。

 家族の笑顔と、夕食と、風呂と、ベッド。ただそれだけを求めに家に帰る毎日・・・。しかし”一雄”は、気が付けば一人きりだった。家族は完全に崩壊してしまっていた。

 自分の人生には様々な分岐点があった。果たしてその時々の自分自身の選択は確かだったのだろうか?と、やり直せない過去を悔やむ。

 家族を失い、職を失い、生きることにすら疲労感を感じていた。

 深夜のバス乗り場のベンチに座り込み、帰るあてもなくウイスキーに口をつける。このまま一気にあおって、ここで死のうかとも考えていた矢先、突然見知らぬワインカラーのオデッセイが現れる。そのワゴンは一雄の目の前で止まり、助手席の窓が開く。・・・そこには見知らぬ父子が乗っていた。

 冥界行きのバスにでも拾われたつもりで、一雄は誘われるがままにワゴンに乗り込んだ。目的地は他でもない、一雄自身の人生の岐路をめぐる、時空を超えた旅であった。

 

 かなり男性向け小説かもしれません。特に一雄は男性心理代表みたいな男です。これぞ温厚なダメ男だ!ここまで顕著にそれが表れてくると、奥さんや息子に同情したくなるかもしれません。私は個人的には一雄を応援したいですが。

 チュウさんがなかなかいい味出してます。一雄のように温和で器用貧乏なお父さんよりも、チュウさんぐらいの体当たり教育で子育てしたほうが豪快な人間が育ちそうです。

 まぁそれで育った結果が一雄であることは言うまでもないのですが。