キョウカンカク 天祢涼
女性を殺して焼却するという猟奇殺人事件が続く地方都市。
単独犯か集団による犯行か…犯人はマスコミから「フレイム」と名付けられ、世間を騒がせていた。
フレイムによる犯行で、幼なじみを殺された高校生”甘祢山紫郎”。跡を追って自殺を図ったが、寸前のところで一人の女性に阻止される。
彼女”音宮美夜”に自殺願望のある”声”を「見られた」らしい。音を目で「見る」という、驚くべき共感覚の持ち主の探偵”音宮美夜”。偶然にも彼女はフレイムの事件の捜査をしていた。
死ぬことよりも何十倍も意味のあること。生きる糧を見つけた山紫郎は、音宮美夜の助手となることを志願し、「フレイム」の捜査に乗り出す。
なるほど、面白かったです。伏線の張り方が自然で「びっくりするほど虚を突かれる!」なんてこともなく、大体の予想をつかせながら滑らかに読めます。
若干ですが、登場人物がウザいです。鼻につくというか、いけ好かないというか。あと作者に笑いのセンスが感じられません。コミカルなやりとりが面白くなくて残念。
森博嗣ぐらいクールに徹底していたり、京極夏彦のように何気ない会話がウィットにとんでいたり、西尾維新のように登場人物たちのやりとりが笑えたりすれば、評価高かったんですけどね。真剣さの中にもジョークを混ぜれるというのは才能なんですね。
しかしメフィスト賞ばかり読んでいても何か違うなぁ。受賞者たちが過去作を読破しているのは当たり前なんでしょうけれど、それにしたって同じような題材とか、ストーリー展開、似たようなキャラ設定が目立つ気がします。まぁ同じ賞には似た感じの作品が集まるのは、それこそ当たり前ですけど。
似ているからには、二番煎じに甘んじるというよりかは、独特の色を出していったほうが面白いと思うんですけど。
そう考えるとやっぱり「プールの底に眠る」はよかったなぁ。