恋都の狐さん 北夏輝
微笑ましい。
狐の面をかぶった青年に淡い恋心を抱く女子大生の、初恋の物語。
んー、メフィスト賞って感じはしなかったかな・・・
ただ、「つままれた」という感じもなくもない。
まず気になったのが主人公の名前が一切出てこないこと。もちろん物語はその主人公の目線で描かれる一人称視点なのだけれど、自己紹介はおろか登場人物達にさえ、「私」の名前は一度たりとも呼ばれることはない。「あんた」とか「君」とかいう呼び方が全てで、この辺りは何処となくぼかされた感じ。
そして結末。
・・・あれ?こうなるの?というオチが待っています。着地地点がだいぶずれているような気がしますが、期待を裏切られたというよりかは、狐につままれた気分という方が相応しいかな。
なんだか、読み進めるうちに少しずつ少しずつ進路をずらされているような…ミスリードとはまた違うんですけどね。
まぁあまり深く考えないで、恋愛小説として読めばよろしいかと。