獣の樹 舞城王太郎

十四歳の僕が馬から生まれる。

記憶もない、名前もない。そもそも自分が何者なのか、人なのか馬なのかもさっぱりわからない。出産（？）の場面に偶然出くわした少年、河原正彦に拾われて僕は河原家の息子となる。

学校に通い、友達をつくり、そして生まれて初めてみた夢の中で出会った少女にそっくりな女の子に出会い恋をする。様々な人間、生き物達との出会いや交流の中で、僕は自分という存在を見つめなおす。そして自らのルーツを辿る冒険にでる。

とりあえず疲れた。

何か大きなモノに衝き動かされるようにして読みきりました。なるほど、とんでもない文圧です。内容はするすると入り込んできますが、連続する言葉の流星群を一言一句真剣に受け止めていたら途中でポイしたくなるかもしれません。

それでも舞城王太郎の作品の中では読みやすく、物語の意図も汲み易い方なんじゃあないかな？良作ですよ、すごく。

登場人物の中では正彦が一番まともで、人間味あふれる良いやつです。数少ない読者の味方はこいつと・・・志摩代くらいじゃないかな。