そんなに暇なら本でも読みませんか?

書評、感想、おすすめ。少々偏りがありますが、わりと何でも読みます。

帝王の殻 神林長平

火星三部作、第二弾。「あなたの魂に安らぎあれ」の続編。

あれから遡ること70年前のお話、火星の都市「秋沙」の人々は、自我の分身ともいえるパーソナル人工脳「PAB」を所有していた。自分の経験をPABに入力していくことによって、PABはその人間と共に成長していく。いわば相棒のようなものであり、もっといえば本人そのものである。自分をサポートする「自分」のような。

その火星を支配する巨大企業の長、「帝王」と呼ばれていた男が死んだ。その一人息子、秋沙恒巧はまるで家督を継ぐ気もない。終には帝王である父・享臣の遺言で「跡取りは息子ではなく、孫である真人にやらせる」とまでいわれる。しかし真人は生まれて以来、未だに一言も喋ったことのない情緒未発達の子供だった。

 

前作を読んでいても。今回の作品を読んでいても。もちろん、膚の下を読んでいても。いつも共通するところがある。

前作では妻の絹子が嫌だった。今回も妻の真里奈が嫌だった。膚の下ではリャン・ウー中尉の妻のマ・シャンエ・ウーがとても嫌だった。

神林長平は「女性」に対して何か悪いトラウマでもあるんじゃないだろうか。いや、物語をつくる上では登場人物が必要ではあるし、その中の一人や二人おかしな人がいてもいいのだけれど。ヒール役が常に女性のような気がするのは気のせいだろうか。ていうか「妻」ばっかりじゃん。