そんなに暇なら本でも読みませんか?

書評、感想、おすすめ。少々偏りがありますが、わりと何でも読みます。

銀河鉄道の夜 宮沢賢治

言わずともしれた有名作品。

・・・これは、どこに面白さがあるんだ?と初めて読んだ人は思うかもしれません。というか私がそうでした。

いや、単に私の感性が乏しいのでしょうか。なんだかよくわからない謎の文章と不思議なストーリーに困惑します。でも解説読んでみたらイメージ変わりました。とても面白い。ていうかその前によく読めよ。

~あらすじと解説と結末~

病気で寝たきりの母親と二人暮らしの主人公”ジョバンニ”はある日母親のために「牛乳」をとりに牧場に向かいます。しかし、なぜかその時は牛乳をもらうことができません。

牧場近くの野原で途方に暮れていると、突然、銀河行きの汽車が現れてノリで乗り込みます。そこには親友のカムパネルラも乗り合わせていました。

ジョバンニが家を出る時に母親から「川へは入っちゃいけないよ」という忠告をうけていますが、これは伏線。終わり頃にわかりますが、実はカムパネルラは川で溺れていたいじめっ子のザネリを助けるために川へ飛び込んだまま浮いてきていません。この時点ですでにカムパネルラは死んでいます。つまり亡霊。

銀河鉄道に乗り込んでからジョバンニとカムパネルラは、様々な美しい光景や、不思議な現象を目の当たりにするわけですけど、この銀河鉄道自体が天国行きの汽車というわけです。つまり全てがあの世の風景というわけ。いなかったはずの乗客が突然現れたり、いたはずの乗客が突然いなくなったりと、考えたことがそのまま実現する世界となっています。

最後まで銀河鉄道に揺られ続けたのはジョバンニとカムパネルラだけですが、途中でカムパネルラは消えます。これはカムパネルラがあの世へ旅立ったという意味で、二人で交わした「ずっと一緒にいよう」「一緒に行こう」という約束は果たされません。カムパネルラがいなくなってしまってジョバンニがひとりで泣いていると、ひとりの紳士に声をかけられます。

彼の言葉がきっかけでジョバンニは現実の世界に戻るわけですけど、そこで初めてカムパネルラが川で溺れていなくなってしまったということを知ります。しかし銀河鉄道の汽車の中で、カムパネルラとたくさんの会話を交わしたジョバンニは不思議とその事実をまっすぐに受け止めることが出来ました。ジョバンニはカムパネルラの父から教えてもらった自分の父親の便りと、牧場で受け取った牛乳を抱きかかえて、母親の元へと駆け出します。

 

大体こんなお話です。